「比奈」
 
 
  
廊下を歩いてると、前方から呼び止められた。
 
金に近い茶髪の男子。ルックスもスタイルもマルで、どこか野性的な雰囲気がある。
 
廊下の窓に寄りかかるポーズがなかなかセクシーだ。
 
 
   
「やっほぉ、イツキ」
 
あたしは彼に挨拶を返した。
 
イツキはよく一緒に遊ぶ友達。カッコよくて遊び慣れてて、楽しいヤツなんだ。
 
 
 
 
「土曜の夜、空いてるか?」
 
「今週の土曜? ゴメン、先約があるや」
 
片手で謝る仕草をするとイツキはさして気にした風もなく、
 
「そっか。じゃ、また今度な」
 
と軽く手を振った。
 
横を通り過ぎる時に流し目をくれる。その抜けめない色っぽさがイツキらしい。
 
女の子の扱いに慣れてる感じ。