手を拭いて、冷蔵庫からサクランボのパックを取り出す。
弾む足取りで小宮を店の休憩室に案内した。
うちの休憩室はママの趣味により和室。
大きなテーブルと電気ポットがあって、いつでもコーヒーやお茶を飲めるようになっている。
部屋の隅には仮眠を取る人用の毛布があって、結構居心地がいい。
「こんな遅くまでごめんね小宮。終わったら送迎スタッフが家まで送ってくれるから」
マグカップにインスタントコーヒーを入れながら言うと、
「気にしないで。比奈さんにはいつも色々してもらってるから」
にこっと笑って気遣ってくれる小宮。
「肝心なコトはまだなんにもしてないけどね……」
ジトっと横目に見ながら言った言葉はちょっと責めてる感じがあったかもしれない。
小宮は気まずそうにあははと笑った。
「もうそろそろ小宮からキスとかあってもいいと思うんだけど?」
テーブルにコーヒーカップーを二つ並べて、小宮の横に座る。
「そ、そう……だね」
「そうだね、じゃなくて! あの日からもう三ヶ月近く経つんだよ! 手は繋げるようになったけど、まだハグもできないなんて異常! 異常すぎるよ小宮!」
ビシッと指を突きつけて言ってやる。
「ごめんなさい……」
しゅん、とうなだれる小宮の手を横から握る。肩に寄りかかると、ビクッと強張るのが伝わってきた。

