「小宮! これ、5番テーブル。こっちは7番テーブルね!」
 
「うん、分かった」
 
 
あたしが渡すお皿とグラスを盆に載せ、しっかりとした足取りで運んでいく小宮。
 
ベストに蝶ネクタイというフォーマルなボーイの制服がビシッと決まってる。
 
シャンデリアのもと、テーブルの間をきりりと歩く姿は既にこなれた風。
 
抱きつきたくてお触りしたくて、その背中を名残り惜しげに見送るけど。
 
 
「比奈ちゃん! 氷の準備頼む!」
 
 
もう一人のキッチンスタッフに呼ばれてウットリ見惚れてるヒマなどないのだった。