二階へ昇る階段の欠けたヘリ。なんとはなしに触ってみた。
 
 
イツキ――
 
 
どうしちゃったんだろう。
 
お昼の険しい顔がふと頭をよぎった。
 
 
なんであんなにイライラしてたんだろう。きっと理由があるはずなんだ。
 
確かに、ちょっと怒りっぽいところはあるけど。
 
あんなに感情を剥き出しにするイツキは珍しい。
 
基本的にイツキは冷静なヤツなのだ。
 

シニカルな笑顔。
 
 
悪いコトばっかりしてるけど、仲間想いでカリスマがあって。
 
クラブで初めて会った時から、あたしに優しくしてくれて。
 
遊びにいっぱい誘ってくれた。あたしの居場所を作ってくれた。
 
ウチがキャバクラだって知っても嫌な顔せずに、
「俺もキャバクラオーナーになりてー!」
って笑ってくれて。
 
人肌恋しい夜は一緒に寝てくれた。
 
  
 
大事な友達だから――