「じゃ、じゃあ、どうもありがとね、浜路さん」 
 
 
すでに手の届かないほど遠く離れた四人は、お礼を言いながらそそくさと去っていく。
 
あたしはその姿を釈然としない思いで見送った。
 
 
  
 
せっかく親しくなれそうだったんだけどな~。
 
 
 
机に突っ伏して顔を横に向けると、数席向こうに座ってるメガネ男子と目が合った。
 
でもすぐに慌てた様子で目を逸らされる。
 
 
   
うーん……新しいクラスに馴染むのって、なかなか難しい……。
 
 
 
 
 
 
  
 
始まって間もない新学期。
 
早くも難航しそうな友達作りに、はふー、とため息を落とすあたしの名前は、浜路比奈(はまじひな)、高校二年生。
 
 
  
新しい出会いの予感、なんてのにちっともウキウキできない、ある春の日のことだった。