公園の花壇の前で話した翌朝。
 
小宮は登校してこなかった。
 
 
どうしちゃったんだろ?
 
 
バス停前で別れた時は元気そうだったのに。
 
いきなり風邪でもひいたかな?
 
 
そう思いながらぼーっと窓の外を眺めてると。校門から誰かがやってくるのに気が付いた。
 
 
あっ。
 
 
小宮じゃん!
 
 
驚いて席から身を乗り出す。途端、先生に怒られた。
 
「窓からバックレようとか思ってるのか浜路」
 
アイタタター。今は授業中でした。
  
クラスのみんなにも笑われちゃった。
 
 
でもその数分後、教室に入って来た小宮の姿に、笑いは静まった。
 
あたしもビックリして、まじまじと小宮を見つめる。
 
 
頬に当てられたガーゼ。赤く腫れた口の端。
小宮には似つかわしくない生々しい傷あと――
 
 
静かに、小宮は言った。
 
 
「すみません、病院に寄ってきたため遅れました」