「でも、最近妙に楽しそうなのは、誰かいい人でも見つかったってコトだと思ってたけど?」
 
あたしから受け取ったエプロンを着けながら、メイさんがチラッとあたしを見た。
 
「ああ、それはクラスの男子に面白いコがいてね。色々そのコに教えてあげてんだ」
 
「教えてあげる? 比奈ちゃんが何を?」
 
「女の子との付き合い方って言うのかなぁ? 初体験の相手を頼まれたんだけど、すんごいウブでさ、そのコ。手を繋ぐだけで真っ赤になっちゃってカッワイ~の!」
 
 
「童貞の純情少年!? うっわ、アッタシ好み~!」
 
 
若いコ好きのアカリさんが食いついてきて、ちょっとビックリした。
 
「ダメだよアカリさん。アカリさん相手だと小宮が怯えちゃう。ただでさえ女の子苦手なんだから」
 
 
積極的なアカリさんに小宮を会わせたら即行押し倒しちゃいそう。
 
そしたら小宮、気絶どころじゃ済まないよきっと。
 
 
「ふ~ん……」
 
メイさんに、クスッてカンジで笑われた。
 
え? なに? なんか可笑しかった今の?
 
「明日のデートもそのコとなの?」
 
今度はママに質問されて、「うん」と頷く。
 
明日は小宮と一緒にお昼を食べて、映画を観る予定。
 
ボーリングとかもやったコトないって言うから、教えてあげるつもりなんだ。
 
いかにも運動オンチっぽい小宮のことだから、ずべってレーンで転んだりして……くぅ~~楽しみぃ~~!