「小宮。敵を倒すにはまず敵を知ること、って言うよね。つまり女を押し倒すには、女を知ればいいと思うのよ」
 
 
あたしはぐっと拳を握って目の前の小宮に力説してみた。
 
 
「倒すと押し倒すってかなり違うような気が……」
 
 
小宮の遠慮気味な突っ込みはスルーして立ち上がる。
 
あたしと小宮以外、この屋上に誰もいないことをさっと目で確認。
 
柵にもたれかかって座る小宮の姿を見下ろした。
 
 
「つまりそういうワケで、今度は視覚的に女の体に慣れてく作戦はどうかな~と」
 
言いながら、制服のスカートの裾を両手でつまんでゆっくり持ち上げる。
 
我ながら自慢の美脚。艶めかしい太股のラインが現れた。
 
「ちょっ! こんなとこで何やってるの比奈さん!」
 
慌てて目を覆う小宮。こんなところだからこそ効果があるんだけど、こういうのって。
 
ラブホテルで太股をすすーっと見せたって、寒いしギャグにしかならないと思う。
 
 
「ホラ、しっかり見て小宮! 小宮のためにやってるんだからね! こんな恥ずかしいコト」
 
 
ホントに恥ずかしいヤツだよアタシ。
 
ハタから見たら必死に男を誘ってるフェロモン女みたいじゃない?
 
自分でそう意識したらカーッと頬が熱くなってきた。