あと5ミリ。


夕方、辺りが少し暗くなった頃にそっと家に帰った。
自分の部屋に入ってすぐ、ベットに倒れ込んでまた泣く。

さっきあんなに泣いたのにまだ涙出るんだ…

枕に顔を埋めて泣きじゃくる。
部屋に私の泣き声だけが響いた。


「ゆう兄…大好きだよ…!」


届かない想いを必死に言う。
その時、階段をゆう兄が上がってくる音が聞こえた。

ゆう兄…!

コンコン


「恋湖…?」


いつもの優しい声でドア越しに聞こえるゆう兄の声。
私は寝たフリをした。


「恋湖?」


なかなか自分の部屋に入って行かないゆう兄。

今は話したくないの…!

そう思っていると、いきなりシンとなった。

あれ…?
自分の部屋に戻ったのかな?

その思った瞬間に、私の部屋の扉が開いた。

え!?
入ってきた!?

私はビックリして、急いで布団の中に潜った。
だんだん近づいてくるゆう兄の足音。
さっきとは違う意味で胸がドキドキする。
そして私のすぐ横にゆう兄が来た。

ど、どうしよう…!


「恋湖、寝てんのか?」

「……」

「…寝てんのか」


よかった…起きてることバレてない。


「…ゴメンな、いきなりで」


え…?


「お前があんな表情するから…すっげぇ胸が痛いよ」


ゆう…兄?


「…好きだよ、お前が」


…え?


「だから…ゴメンな」


ゆう兄はそれだけ言って部屋を出て行った。
私は頭が真っ白で身体が固まった。

好きって言った…?
今、ゆう兄確かに私のこと…好きって…

勘違いしそうになる。
そんなわけないのに。
あんなに素敵な彼女がいて、結婚前提で突き合ってるのに。
私のことを好きだと言ったのは…
私と同じ気持ちで言ったんじゃない。
家族として…
妹として…
ただそれだけだ。


「ゆう兄…
私も大好きだよ」


一人になった部屋で呟いた。

明日からどんな顔してゆう兄といればいいんだろう…
気づかれないように、なんとかしなくちゃ…

そう決心して、私は眠りについた。