「傷を負ったんだ、あんまり動くな。」

『私はそこまでやわじゃないぞ。』


少し怒ったように拗ねた振りをする。

「分かってるよ、」

『質問に答えてやろう。お前が私を救えることは何一つとない。ただ、お互いを知らず体を重ねるだけで十分じゃないか?』


俺の思いに気づいているのか?
俺自身さえ知らない、この気持ちに。

「俺にはそれ以上は許されないのか…」

『許されないな。それと、若いやつらがでしゃばってくると迷惑なんだよね。最近も炎武の動きが活発で困ってるんだよ。』


「なんで、それを?」

『私が知らないわけないだろう?馬鹿にするな』


確かに、闇を生きる場所とする光希には知らないことなどないであろう。


『しかも、よりによって炎武。お前らも厄介な奴等に目をつけられたな。あいつらは、売る殺すを商売とする歴とした組だぞ?』


「そんなこと知ってる。」


『ふっ。何が知っているだ。組をなめるな。特に炎武はな…』


「へー。ということは、お前も炎武と関わりがあるわけだな。」


光希はしまったという顔をしたが、もう遅い。

光希の情報を手に入れることが出来て満足だった。

ほんの一歩近づけた気がした。