『遼矢。起きて。腹減った』
肩を揺らされる。
『腹減った。』
再び肩を揺らされるが、今度はさっきより強い。
「自分で作れるだろ。」
光希に背を向けながら寝ポジを取るためモゾモゾ布団に潜る。
光希の気配が消えたと思ったら、すぐに戻ってきた。
焦げ臭さも共に…。
「今度はどうした?」
『パンを焼いたら焦げた。』
は?
パンを焼くだけだろ、なぜ焦げる?
『そんな、私を疑うような目で見るな!』
「じゃぁ、なんで焦げるんだよ。」
『だーかーらー、私は単純料理ができないんだ!』
俺から目を逸らして拗ねたように言う。
話が噛み合わない。
「お前、それでも、パンを焦がすってすごいぞ。」
せっかく取った寝ポジも無視して起き上がる。
光希が手を引いて俺をリビングへ導く。
なんじゃこれ。
いやいや、パンを焼くときはトースターを使うだろ。
なんでカセットコンロが机の上に出てるんだよ!

