いつもより早めに風呂を上がったが、思った通り光希はテレビの前で寝ていた。
「おい。こう、き…?」
光希の名前を呼んで起こそうかと思ったが止めた。
寝ている光希は口がつんと尖る。
子供みたいな寝顔だな。
頬をつついてみるが少し唸ったくらいで起きる気配はない。
起こすのも可哀想だ。
仕方ねぇ。寝室まで運ぶか。
光希の体は軽い。身長は高いが体重が軽い。ちゃんと食べてるのか?甘いもんはパクパク食べるがな。
明日から、光希のご飯を少し多目に入れるか。
そんなことを考えながらお姫様だっこで寝室まで運ぶ。
寝室の扉を開けるとキングサイズのベッド。
その上には俺用の枕と光希用の枕、抱き枕、ぬいぐるみ。
一緒に住むことになったとき、光希が何処からともなく持ってきたそれらは、俺らのベッドを4割りほど独占している。
光希をベッドに横たわらせる。
毛布をかけて掛け布団もかける。
俺も布団に入って光希とは逆方向を向いて寝ポジを取る。
『寒い…。』
光希が急にしゃべる。
少し驚いてビクッとしたが、すぐに寝言だと気づいた。
「寒いのか…?」
俺は光希の方へ向き直って、光希を自分の腕に納める。
光希の規則正しい寝息が聞こえてきた。
やっと、ぐっすり寝たか。
『…手。』
光希がまた、寝言を呟く。
本当に世話が焼ける。
「これでいいだろ。早く寝ろ。」
光希の小さい手を握って今度こそ、深い眠りについた。

