「お前がここまで料理ができるとは意外だ。」
『あー!また、意外とか言う。もう、いいもーん!』
ふて腐れたようにフォークを下げた光希の皿には、まだケーキが残っている。
甘党の光希が俺と同じケーキなんて食べられるわけがない。
光希の皿の上のケーキにはシロップのコーヒーが掛かっていた。
もしかして、俺のためとか?
「それ、無理して食べるな。眠れなくなるぞ。」
それでも、光希は最後まで食べようとして涙目になってまで完食した。
「たく。無理すんなって言っただろ?」
角砂糖を3つも入れたミルクティーを目の前に差し出すとチビチビと少しずつ、幸せそうに飲み始めた。
『私は、遼矢が理解できない。』
「なんでだ?」
『あんな苦いもの平気な顔して食べる遼矢はスーパーマンだ。』
例えが子供っぽすぎて呆気にとられたが光希が本気で言っていると思い、突っかかるのは止めておいた。
テレビをつけるとバラエティー番組をしている。
ニュースを見ようかと思いチャンネルを変えようとしたら、隣に光希が座り食い入るように番組を見ている。
どうせ、録画してある。
そう思って、持っていたコントローラを床においた。

