「ちょっと待って下さい。」



後ろから声をかけられた。

振り向くとそこに居たのはあの女。


手にしてるのは濡れたタオル。


そばまで寄ってきて俺の手を拭き始めた。




「おい。なにしてる?」

嬉しかった。俺の血を見て心配してくれたのか拭いてくれたこの女。


「…ぃで…っ!」


俺の手にはでっかい切り傷があった。

俺、いつの間にこんな怪我。




「痛いですか?」


俺の顔を覗き込む女。

そして、ガーゼを敷いて包帯を巻いてくれた女。





そんな、お節介で優しい彼女に恋をした。



名前も知らなかったけど恋をし続けた。