助手席の窓がウィーンと開き、村瀬さんとみんなが、最後の挨拶を交わす。

横一列に並ぶようにして立つみんなの後ろに、私はそっと隠れるようにする。

もう、村瀬さんの顔も、塚本さんの顔も、見たくなかった。

身長152㎝の私を、みんながいい感じに隠してくれる。

生まれて初めて“小さくてよかった”と、思ったかもしれない。

村瀬さんと塚本さんを見送った後、みんなで次のお店へ移動する。

歩いて5分もかからずに到着した。

歩いている間、高野主任達が話しかけてくれたけど、全然頭に入ってこない。

塚本さんに、モヤモヤを全部ぶつけたはずなのに、結局、さらにモヤモヤしてしまった。

赤い口紅が似合うきれいなママと、時々バイトに来ているという女の子2人だけの、こじんまりとしたお店だった。