どこか遠くを見つめ、考えながら、ゆっくり話す尚子さん。

「なら、どんな人がいいの?」

「自分の思っている事を、はっきり言う人。やりたい事は、少々強引な位でも、やり遂げる人。そして、その為の努力を惜しまない人」

つらつらと出てくる尚子さんの言葉に、少しびっくりした。

「呼びかける時『お前』なんて言う位、上から目線な人がいいかも」

言い終わると、少し恥ずかしそうに笑った尚子さん。

「“誰か”の事、思い浮かべてた?」

私が探るように聞くと、慌てて首を横に振る尚子さん。

「そっ、そんなはずないでしょ!」

そう言いながらも、尚子さんの顔は、心なしか赤くなっている。

私は、もうそれ以上深くは聞かなかった。

尚子さんに、こんな表情をさせる人って、どんな人なんだろう・・・