キスの意味


私がふいに立ち止まると、塚本さんも気付いて立ち止まる。

「沙映?」

訝しげに私を見る塚本さんに歩み寄り、駐車場で私たちは向かい合った。周りの事は、不思議とあまり気にならなかった。

「塚本さん!」

「ん?」

塚本さんの切れ長の瞳を見据える。

「千晶の言った事は、ほぼほぼ本当の事です」

「……全部じゃないんだ」

左肩に掛けていた、いつもより大きめの鞄を左手で握りしめ、塚本さんの方につき出す。

「ここに!明日の着替えなんかも、準備してます」

「……うん」

「私は、もっと塚本さんと一緒にいたいんです。もっと塚本さんに、近付きたいんです」

「……」

「今日私と、一緒にお泊まりしてください!」

塚本さんが、小さく息を呑んだ。二人で、じっと見つめあった。

春の風が、フワリと二人の間を抜けていった。

塚本さんが視線を逸らし、フッと微かに笑った。再び、私と視線を合わせる。

「大事にしようと思ったんだ。最初が、あれだったし。少しずつと思ったけど、沙映に触れると、抑えが効かなくなりそうで……」