「こういうのって、意外とおもしろいな!……今度は、住宅の展示場に行ってみるのもいいかな」
「うん、おもしろそう!“家”って、進化してるんですね!」
紙コップのコーヒーを持ちながら、私も塚本さんに同意した。
長机には所々に、紙皿に盛ったアメや、個包装されたチョコやおかきが置いてあった。
そのお菓子や、コーヒー、フライドポテトをつまみながら、塚本さんと話した。
座って十分も経たない頃、後ろから肩を叩かれた。パッと斜め後ろを振り仰ぐと、千晶がいた。
「はい、クレープだよ。井上主任からです!」
長机の上に、小さめの紙袋を置いた千晶。会場には、市内で人気のクレープショップとドーナツショップも出店していた。
『井上主任』とは、千晶の上司で経理課の主任だ。三十代後半だが、もっと年上に見える。
あまり表情を変えない人だが、千晶の事を娘のように可愛がってくれている。
私も、一度飲みに連れていってもらった。
コーヒーコーナーを見ると、銀縁眼鏡をピカンと光らせた井上主任と目があった。
「井上主任、ありがとうございます!」
「ありがとうございます!」
立ち上がり、井上主任に向き直って頭を下げた。隣で、塚本さんも同じように頭を下げる。



