私も腕を伸ばして、塚本さんの背中に回す。広くて、引き締まった胸に、しばらく顔を付けて、涙を流す。

塚本さんの心臓の音が聞こえる。ドキドキドキ・・・力強い音は、いつもより速いんじゃないかな?塚本さんも、私と同じように、ドキドキしたり、ザワザワしてくれていた?

「また、ワイシャツを汚しちゃいました」

照れ隠しに、そう言いながら顔を上げた。

「洗えばいいから」

塚本さんの優しい視線に捕まる。

塚本さんの顔が近付いて、静かに目を閉じる。

温かくて柔らかい唇が、そっと触れて離れた。

「今日は、飲んでないよね?」

塚本さんの吐息が熱い。

「はい・・・」

私も、熱い吐息で答える。

「じゃあ、全部覚えてて」

返事は、もうできなかった。熱く濡れた唇に、塞がれたから・・・



ねぇ、あの夜のキスは『愛しいキス』?


じゃあ、このキスの意味は・・・?



END