「水野君が、一番俺に訊きたい事は、そんな事?ちゃんと答えるから。今度は、ごまかさずに答えるから。もう一度訊いてほしい」

塚本さんの低い声が、私の隙間だらけの心に響く。

それって・・・塚本さんの中に、ちゃんと答えがあるって事・・・?

私は顔を上げ、涙を堪えながら塚本さんを見つめる。

「塚本さん!」

「はい」

「この前の飲み会の時、私に・・・キス、しましたか?」

「はい、しました」

塚本さんも私を見つめたまま、頷いた。

「それは・・・それは、どうしてですか?」

塚本さんが、目を閉じた。すぐに開くと、また、私を見つめる。暗闇の中なのに、先程より、瞳の光が強くなったように感じる。

「『愛しい』と思ったから。君に触れる事を、どうしても我慢できなかった」

「っっ!!」

とうとう、私の目から、涙が溢れてしまった。でも、今までの涙とは全然違う。

塚本さんが、私を抱き寄せてくれた。また、ワイシャツを汚しちゃう・・・とは、思ったけど、離れたくない。