キスの意味

子どものような、目をキラキラさせた笑顔に、私もつられて笑ってしまう。

「フフフ・・・」

シートベルトに手を伸ばし、引っ張ろうとするが、うまく力が入らない。

「?」両手を見ると、小刻みに震えていた。

ヤダ!なんで今頃・・・?震えている手を、ジッと見つめる。

やっと・・・心から安心できたんだ。そんな事を思ったら、大橋部長の隣にいた時の、不快感や嫌悪感が甦り、両手をグッと握る。

鼻の奥がツンとしてきて、瞳や瞼に力を入れる。大丈夫!泣かない、泣かない・・・

夜の駐車場だが、そばに街灯があるせいか、思ったより車内は明るい。涙なんて流せば、きっと塚本さんに気付かれてしまう。

「水野君、やっぱり大橋部長に何かされた?」

静かに、塚本さんが問う。俯いて、私は首を横に振った。

「大丈夫です」

「水野君。どうしても話したくないなら、無理に聞かないけど・・・話した方が楽になる事も、あるかもしれない」

静かだけど、先程より力強い言葉が私を包む。