キスの意味

「話は、車に乗ってからでもいい?」

「はい」私が小さく頷くと、「行こう」と塚本さんが歩き始めた。

その背の高い後ろ姿を見ながら思う。

藤田さんは、私の“ 恋心 ”に気付いていたのだろう。なかなか素直になれない私の為に、嘘までついて私を誘い出した。

塚本さんも、何かしらの理由をつけて呼び出された。塚本さんが尚子さんに、どこまでの事を聞いたのかわからないけど・・・

これは、藤田さんが私にくれた“ チャンス ”だ。私が塚本さんに“ 想い ”を伝える事のできる、最初で最後のチャンスなんだ。

前を歩く塚本さんに、拳を握りしめて一歩近付いた。

少し歩いて、塚本さんの車に辿り着く。

「カチッ」と車のロックを解除する。

「どうぞ」塚本さんが、助手席のドアを開けてくれる。

「おじゃまします」と、小さく頭を下げてから助手席に乗り込む。

助手席に座り、思わず「クンクン」と車内の匂いを確認してしまう。

塚本さんらしい、柑橘系のカーコロンの香り。そして・・・

「新車の匂いがしますね!」

運転席に座った塚本さんを見る。

「だろう!新車の匂い、まだするだろう!?」