キスの意味

「それ、わざとですよね?」

塚本さんが藤田さんに、視線を動かしながら言った。

「バレたか」

藤田さんは、薄く笑って言った。

「夕方のあれもそうですか」

塚本さんが珍しく、不機嫌そうな声で言う。

「いや、あれはたまたまだが・・・効果覿面だったよな」

「ニヤッ」と唇の片端を上げて笑った。

塚本さんは、無言で前を向いた。

何がわざとで、何が効果覿面だったのか?
私には、わからない事ばかりなのに、2人はしっかり通じているようで、なんか悔しい・・・

店員さんに見送られて、居酒屋の外に出た。階段を降りながら、塚本さんが静かに言った。

「藤田さん、早く連絡した方がいいですよ」

階段を降りきって、藤田さんが足を止めた。そうだ!藤田さんはこの後、仕事なんだよね?

「尚、何て言ってた?」

えっ⁉尚子さん・・・?私は目を見開いて、藤田さんと塚本さんを、交互に見た。

「藤田さんが暴走していないか、心配していました」