キスの意味

「自分に自信を持っているあの人なら、いろいろとショックを受けただろうな」

フン!と藤田さんが、鼻先で笑った。

「そうですね。最後には『大橋部長のような落ち着いたお父さんがいいです!』と、とどめを差しました」

「「こえ~!」」

またもや、2人の声が重なった。

「沙映、高野主任や津村主任にお父さんの話しをした事は?」

「ないです」私は、首をフルフルと横に振った。

「訊かれたら、答えますけど。自分から言うつもりはありません」

「なんで?」

「飲み会で、よくわからずに父の事を何度か話した事があります。その場にいた父と同世代の人に、必ず引かれました」

後ろの藤田さんを振り返りながら、私は苦笑した。

「で、気付いたんです。“ 自分の娘でもおかしくない女の子 ”とは、楽しくお酒が飲めないのかなぁって。男の人って、結構繊細ですよね!」

私が笑って言うと、後ろから藤田さんが、ワシャワシャッと頭を撫でた。

「沙映は、意外と大人だな」

「“ 意外 ”じゃないですよ!」

私は唇を尖らせて抗議した。ふと気が付くと、塚本さんが私達をジッと見ていた。