「塚本は、たま~に変なオーラを出すんだよ」

「変なオーラ?」

うっすらと笑いながら、藤田さんは続けた。

「ああ。“ 王様オーラ ”とでも言うのかな。あいつが話したり笑ったりすると、みんなが惹き付けられる。んで、最後には男女関係なく、あいつの言う事を聞いてしまう」

なんじゃそりゃ⁉て思う所なんだろうけど、さっきの塚本さんを見た後だと、なんとなく納得してしまう。

「なるほど。“ 王様オーラ ”・・・」

「水野君、何納得してるの?藤田さんも、変な事言わないでください」

先頭を歩いていた塚本さんが、立ち止まって振り向き、眉間にシワを寄せる。

「塚本さん、ありがとうございました!」

私は、ようやく塚本さんにお礼を言う事ができた。

「もっと早く来れればよかったんだけど・・・水野君、大丈夫?」

覗きこむようにして、塚本さんが私を見る。不意に近付いた距離に、ドキッ!とする。

「大丈夫です!とりあえずお店を出ましょう」

また、3人で歩き始める。