「「「失礼します!」」」

藤田さん、塚本さん、私、と3人で揃って頭を下げた後、大橋部長達のいる座敷から、無事退席した。

藤田さんと塚本さんに挟まれていた私は、すぐ後ろにいた藤田さんに、そっと声をかける。

「いつもの塚本さんと違いましたよね?」

「そう感じたか?」

「はい。なんか妙な迫力があって。最後には、みんな塚本さんに取り込まれてましたよね?」

「“ 取り込まれて ”か・・・うまい事言うなあ」

藤田さんは、クククと笑った。

私達がいた座敷に突然現れた塚本さんは、何と言うか“ 鮮やか ”だった。

みんなの視線を釘付けにして挨拶をした後、ススッと大橋部長に近付き、再び頭を下げる。

そして、大橋部長に私を迎えに来た事を告げる。

私が課長に依頼されて作った資料に、ミスがあった。明日には必要なので、今日中に直さなければいけない。

気が付いた自分が直そうと思ったが、私が課長から依頼された、初めての重要な仕事だったので、最後まで本人にやり遂げさせたい・・・という事らしい。