キスの意味

前に進む為に、私の想いを塚本さんに伝えよう。

自然とそう思えた。例え、当たって砕ける事になっても・・・そうする事で、しばらくは辛くっても、スッキリと前に進める。

そんな風に考えていたら、久々に、とても穏やかな気持ちになれた。

まだ何もしていないけど、一歩前進!できたような気がした。


――『塚本さんに想いを伝えよう』

そう決意して迎えた新しい一週間。しかし、私の決意なんか関係なく月末に向かってどんどん仕事は忙しくなっていく。

来月は12月。一年の締めくくりは、何かとバタバタする。私は告白するタイミングを、完全に見失っていた。

告白しようというのだから、仕事のちょっとした合間に・・・なんて訳にもいかないし。

かといって、塚本さんのケータイの番号やアドレスを知らない私は、仕事中以外に、どうやったら塚本さんと話せるのか?

忙しい塚本さんを見ながら、そんな事を考えると、私の告白なんて、ただ塚本さんの手を煩わせるだけじゃない?・・・そんな弱気が顔を出してくる。

揺れて沈んで、また引き上げて・・・そんな事を毎日繰り返している。

仕事も忙しいので、それだけに振り回されている訳でもないが・・・