金曜日の夜、私は真尋に電話した。
もう、限界だと思ったから――

前日、木曜日の夜中。12時を過ぎていたので、正しくは金曜日になるが。

浅い眠りの中で、夢をみた。塚本さんとのキスの夢。

私の記憶通り、キスをした最後に唇を舌先でペロッと舐められた。そして・・・

「これは夢かな?現実かな?どっちだと思う?」

夢の中で塚本さんは、そう言って「ニヤッ」と笑った。

パッと目を開く。ドキドキいっている心臓を、両手で、そっと押さえる。

なんだあの、ドラマみたいなセリフは・・・!

現実の塚本さんは、絶対言わなそうな言葉。夢の中で、私が言わせたんだ。じゃあ、“ キスの記憶 ”も、やっぱり・・・?だったら塚本さんは、私に何をしたの?・・・本当は、何もしていないの・・・?

わからない・・・わからないのに、考える事をやめられない・・・!

身体は疲れているのに、ちゃんと眠れない!こんな事では、きっと、忙しい月末が乗りきれない!

そんな不安や焦りで、さらに自分を追い詰めている気がする。