「そっか、あれ覚えてないんだ」なんて楽しそうに笑う塚本さん。

「すみません!忘れてください!」

私は、眉尻を思いっきり下げて言う。

「えっ!いいのに“ つかもん ”」

「それは、内緒のヤツなんで、お願いします!」

ペコッと頭を下げて言うと「そっか~、内緒だったのか~」と、やっぱり楽しそうだ。

私、謝ってばかりだけど、自然に話せているよな。そんな事が、ちょっと嬉しい。頬が緩んでしまう。

「水野君・・・」

それまでと違って、固さを含んだ呼びかけに、塚本さんを見つめてしまう。

「はい?」

目が合うと、塚本さんの目が泳いでしまった。

「あっ、いや・・・次の日は、二日酔い大丈夫だった?」


「朝イチは辛かったですけど、薬をのんで、たっぷり寝たら、完全復活です!」

ニッ!と笑ったら、塚本さんもニッ!と笑った。

「それは、よかった」

私が、いろんな事を意識しなければ、以前のように塚本さんと笑えるんだよ・・・

そんな事も思った朝だった。