塚本さんとは、いつも目を見て話していた。塚本さんも、私の目を見て話してくれたから。最近は、そうやって話す事もずいぶんと減ったけど。

塚本さんは、少し困ったような顔をして笑っていた。

「ありがとう!気を遣わせたみたいで、悪かったね」

「とっ、とんでもないです!千晶と私が、塚本さんにかけた迷惑を思えば!」

力を込めて言う。本当にそう思うから。

「ありがとう。千晶ちゃんにも、お礼言っといて」

「はい」と頷きながら、“ 千晶ちゃん ”なんだ・・・なんて思ってた。

「見ての通りなんですけど、それ、ネクタイなんです。このまま、車に置いていっても大丈夫なんです」

私が苦笑しながら言うと、意図を読み取ってくれたのか、塚本さんは頷いた。

「そうだな。置いてくよ」

塚本さんが、車にネクタイを置くと、ゆっくり歩き始める。

「今日は“ つかもん ”じゃないんだ」

「っ!」

目を見開いて、塚本さんを見上げる。

「なんで、それを?・・・」

「土曜日、途中からずっと“ つかもん ”だったの、覚えてない?」

私は、プルプルと首を振る。