「ハァ～」と千晶は、盛大に溜め息を吐いた。

「もう、あなた達って、本当に面倒くさい！」

どこが？出かかった言葉は、呑み込んだ。千晶の眉間に、かなり深いシワが刻まれていたから。千晶ちゃん、そのシワ、定番になっちゃうよ。


―出かける準備をして、千晶の車で、３０分ほど走った所のショッピングモールに向かう。

本当は昨夜、代行運転を利用して、私の車で帰るはずだったのに。２人共、そんな状態じゃなかったので、塚本さんにタクシーで送ってもらった。前に自宅の場所を、なんとなくでも話しておいてよかったかも。

本当に最初から最後まで、塚本さんには迷惑をかけっぱなしだった。

お詫びと感謝を込めて、千晶と２人、塚本さんにネクタイを贈る事にした。

千晶に、私の車が停めてある駐車場まで送ってもらい、そこで別れた。

明日、塚本さんにどうやってネクタイを渡そう・・・とりあえず、それだけを考えてハンドルを握っていた。