でも!私、“ 感触 ”も覚えてるよ!触れた唇の、柔らかさ、温かさ。舌先の濡れた感じも、ハッキリと思い出せる!

と、ハッキリ思い出して、身体が沸騰した。

「・・・沙映、真っ赤だよ。今度は、何の妄想?」

「は、ひ・・・」

妄想、妄想と、言わないでほしい。きっと千晶の中で私は“ 妄想おねえさん ”だ。

「そんなに欲求不満ならさ、本物にしてもらえばいいじゃん!キ・ス」

千晶は、人差し指で自分の唇を、トントンと触りながら言った。

「っ!もう、やめて!塚本さんには、彼女だっているのに、失礼だよっ!」

ショックが続いて、ちょっと忘れてた。塚本さんにはお似合いの、すてきな彼女がいる。

それに・・・昨夜は、おもいっきり吐いた。最後に、胃液を吐いちゃうまで。それに付き添ってくれたのは、塚本さんだ。トイレの水も流してもらってたし。しっかり見られている。

これが、カップルだったら『100年の恋もさめる』って、やつだよね。カップルじゃないから、さめるものもないけど。よけい、嫌だよね。・・・私、そんなに欲求不満なの!?

チッ!と千晶は舌打ちをした。