キスの意味

「水野君、宮前と何か話したよね?」

「?」よくわからなくて、塚本さんを見つめたまま、コテンと頭を横に倒す。

「いや、そんな可愛い顔をされても・・・ほら、休憩室で・・・」

「っ!新発売のチョコの事!」

「じゃなくて・・・」

「っ!新発売のカップ麺の事!」

「食べ物の事じゃなくて・・・」

「っ!!新発売のシャンプーの事!」

私の言葉を聞いた塚本さんは、ガクッ!と項垂れた。

「・・・訊きやすいと思ったけど、やっぱ
無理か・・・」

そんな塚本さんを見ながら、私の頭の中は『?』が踊っていた。

もう少しまともな私だったら、塚本さんが言っているのは『白雪姫の事』だとわかっただろう。
無意識の内に、その事を塚本さんから直接聞きたくない!と、思っていたのかもしれない。

働かない頭を無理やり働かせたせいか、それまでぼんやりしていただけの頭の中に、鈍い痛みを感じるようになった。そして・・・

「つかもん・・・」

「ん?」

私の呼びかけに、塚本さんが顔を上げたのと、私が塚本さんの膝に倒れ込んだのが、ほぼ同時だった。

「っっ!!」

「気持ち、悪いれす・・・」