キスの意味

日本酒の味はわからないけど、おいしいと思った。本当に身体の内側から、ジーンと暖まる。

「塚本さんも、いかがですか?」

千晶が、隣の塚本さんにお猪口を差し出す。が、塚本さんは手で制した。

「ありがとう。だけど、遠慮しとく。俺、前に日本酒で悪酔いした事あるんだよ」

苦笑しながらそう言った。

一本目のお銚子は、千晶と2人で、スルスルと飲んでしまった。次は、一人に一本ずつで注文してもらう。

「さすが!2人とも、いい飲みっぷりだね~」

なんて津村主任に言われ「「はい!」」と、元気よく2人で答えた。

2本目も、しばらくして空になり、3本目を注文してもらう。お酒がすすみ、みんなちょっと陽気になり、会話も盛り上がっていた。

私は、塚本さんと千晶に目を配りながら飲んでいた。2人だけで、話し込む様子もないし、心配し過ぎたかな・・・なんて思っていた。

・・・ふと視線を動かすと、千晶が、向かいの席に両主任に挟まれて座っていた。

あれ?・・・千晶、いつ移動したんだろ?・・・顔色、青いよ。目も、ちょっと虚ろ。今日の千晶は、ヤバいかも・・・