千晶の経理課の先輩も、インフルエンザではなかったものの、熱が上がったり下がったりで、全快するまでに、時間がかかったそうだ。

飲み会の後、千晶達は私の家に泊まるようになっていた。そんな事を考えても、今から新たに誰かを誘うのは、無理がある。

「仕方ないよ。別に合コンって訳じゃないんだし、一人くらい減っても大丈夫!」

千晶は、もう一度「ごめん」と言い、もう少ししたら、自宅を出るからと、電話を切った。

私は、とりあえず高野主任にメールを送った。

高野主任から、すぐに返信がある。

『残念!だけど、仕方ないね。
お大事に!と伝えておいて』

高野主任のメールの内容を、千晶にもメールする。『ありがとう。伝えておく』と、千晶からも返信があった。


―午後6時50分過ぎ。今日のお店から、すぐ近くの駐車場に到着する。千晶は、こちらの方には詳しくないので、私の運転で来た。途中、曲がる所を一本間違えたが、順調に来たと言ってもいいと思う。

この辺りは、きっと以前から飲食店の多い場所なんだろう。細めの路地一本一本に、大きくはないが、いろんなお店が並んでいる。カフェ、ラーメン店、寿司屋等々・・・そんなお店の共同駐車場が所々にあり、その一つに車を停めた。