「ん、そうか?」

あまり気にしていない口調で、藤田さんが言う。

「私は!・・・『お前はチビだ』と言われているようで、頭のてっぺんを触られるのは、あまり好きじゃないです」

「そうか。悪かったな」

やっぱり、あまり気にしていない口調で、薄く笑いながら藤田さんは言う。

「いっ、今のは優しい感じだったので、許します」

「うん」フッと笑いながら、藤田さんは頷いた。

私に男兄弟はいないけど、『お兄ちゃん』て、こんな感じじゃないのかな?

言いたい事が言えて、一緒にいても心がザワザワしない。

初めは怖いだけだった藤田さんを、こんな風に思っちゃう自分に、少しびっくりする。

やっぱり塚本さんは『お兄ちゃん』じゃない・・・塚本さんと一緒にいると、すごく楽で、安心できるのに、時々、すごくザワザワした気持ちになる。胸が、チクチクする事もある。

そんな事を今さら確認して、だから、どうなのっ?て感じだけど。

私は、一人でウダウダと考えて込んでいた。だから、藤田さんが何かを考えながら、私の事を見ていたなんて、その時の私は、全く気が付いていなかった。