「何だよ?それ・・・」

私が突然並べた言葉に、藤田さんが戸惑う。

「尚子さんが付き合いたい人です。これって、藤田さんの事だと思いませんか?」

藤田さんが、目を見開く。尚子さんが言った言葉とは微妙に違うかもしれないけど、こんな感じだったはず。

「あっ!“ お前 ”て呼んでくるくらい、上から目線な人がいい、てのもありました。やっぱり、藤田さんです!」

私はニッコリ笑って言った。藤田さんは少しの間、目を見開いて固まった後、フゥーッと、大きく息を吐いた。

「でも、沙映・・・俺は、尚に一度フラれているんだ・・・」

「えっ!?」

「いや!ちゃんとフラれてもないな。俺が『付き合おう』と尚に言ったら、『またぁ、藤田さん、からかわないでください』と返された。いくら『本気だ』と言っても、相手にされず・・・『冗談だ』と言ったら、ホッとした顔をされた」

フッ・・・と、自嘲気味に笑った藤田さん。「お前も、ごまかすの!?」なぜ「お前も」と言ったのか気になったけど・・・そうか、尚子さんの事だったんだ・・・

「でも、やっぱり私は、尚子さんは藤田さんの事が好きだと思います」