一瞬間をおいて、藤田さんの顔も赤くなった。想像したな・・・先ほどの自分も、そうだったのだろうと思うと、恥ずかしくなる。

「尚は、そんなんじゃ!・・・」

2人して、同じ返しをしやがって!

「尚子さんが藤田さんの“ 彼女のふり ”をしているのって、藤田さんの“ 女避け ”て事ですが。尚子さんの“ 男避け ”にもなりますよね?」

「うっ・・・」と藤田さんが、言葉を詰まらせる。宮前さん、ビンゴ!私は心の中で親指を立てる。

この前、野球大会の事を話した時、藤田さんと尚子さんの“ 彼女のふり ”の事についても、さりげなく聞いてみた。

「ああ、あれね・・・」

その事は、社内でも広く知れ渡っているらしい。とはいっても、2人がお似合いなので、あえて間に割って入る人もいない――という事らしい。

「藤田さんの“ 女避け ”だって事になってるけど。あれって、小竹さんの“ 男避け ”にもなってるんだよ。藤田さんは、本当はどっちが狙いなんだろうね」

そう言って肩を竦めた宮前さん。鋭いです、宮前さん。

「自分の思っている事をはっきり言う人、やりたい事を強引でもやり遂げる人、その為に努力している人」