よし!このタイミングで帰ろう!バッグを掴み、座っていた座布団から横にずれ、きちんと正座する。

「今日は、ごちそうさまでした。お先に失礼いたします」

両手をついて、頭を下げる。この丁寧な口調、嫌味だったかな?

私が立ち上がると、藤田さんも立ち上がり、びっくりするほど素早く私の傍まで来た。

そして、私の左腕を掴むと、後ろの壁にドン!と背中を押し付け、両手を私の頭の横にバン!とついた。

かっ、壁ドン~!!??

「俺様から、言い逃げするつもりとは・・・たいした度胸だな」

呆然として藤田さんを見上げる私に、いつもより低い声で囁く。

「さっきの勝ち誇ったようなお前の顔も、気に入らないな。お前のその顔・・・ちょっとはビビったか?」

藤田さんの発言に、眉間にシワを寄せる。そんな私の表情に、ピクッと片方の眉を上げる。

「・・・まだそんな不機嫌そうな顔ができるほど、余裕があるのか・・・」

そう言った後、藤田さんは、私の右耳に口を寄せて囁いた。

「これを、塚本にされたらどうする?」