キスの意味

・・・とっても、お似合いだった。

白石さん背が高いから、顔を上げた時、結構塚本さんと顔の距離が近くって、ドキッ！としてしまった。

私が、ドキッとするのも変か・・・

いや・・・学生時代ならまだしも、大人になってから、誰かのそういう『告白』シーンを見る事なんてなかなかないし、だからきっと、びっくりしたっていうか、照れてしまったというか・・・

うん！私の動揺は、きっと、そういう事なんだ！と、無理矢理自分を納得させた。

一人でいるとどうしても、塚本さんが白石さんの背中を擦る姿、白石さんの「陽平さん」と呼んだ声が甦ってきてしまうので、私は、みんなの所に戻る事にする。

できるだけ顔が見えないように、野球帽を目深に被る。

休憩所となっている『芝生広場』に入ろうとした時、声をかけられる。

「水野さん！」

「・・・白石さん・・・」

白石さんが、小走りで私のそばまで来る。

「ごめんなさい！今朝、受付してもらった時に、お弁当の数を確認するのを忘れていて・・・水野さんでもいいかしら？」

小首を傾げて、やっぱり、きれいな笑顔を見せる白石さん。

「いいですよ」

「お弁当の数は、水野さん達マネージャーさんも含めた参加人数でいいかな？」