「白石 雪乃 ( しらいし ゆきの ) です。今日は一日、よろしくお願いします!」

彼女が頭を下げると、歓声とともに拍手した野球中年達。

野球大会の主催者から派遣された、うちの “ お世話係 ” は、とてつもなく美しい人だった。

「こちらこそ、よろしく!」「雪乃ちゃんの為にがんばる!」なんて、みんな満面の笑みだ。

これはみんな、はりきっちゃうな・・・なんて苦笑しながら見ていたら、尚子さんが私にだけ聞こえるくらいの声で囁いた。

「白石 雪乃、26才。1年程前、中途採用。彼女が受付に配属されると、その容姿・雰囲気・名前から『白雪姫』と秘かに呼ばれるようになったらしい」

尚子さんの千里眼は、社外の事でもお見通しなんですね・・・

『白雪姫』か・・・うん、確かにピッタリだ。きれい過ぎて、変な妬みみたいなものは、不思議と感じない。

それに・・・次々とまとわりついてくる野球中年達と話す姿は、とても楽しそうだ。艶のある赤い唇を綻ばせて笑う表情は、とても自然で、つくっているようには見えない。

“ 見た目 ” だけではなく “ 中身 ” でも、野球中年達のハートをガッチリ掴んだ『白雪姫』。