「嫌っていたら、藤田さんなら無視するよ。あれだけかまってくるって事は、沙映の事、気に入ってるんだよ」

「ん~・・・」

納得できないでいると

「初めて藤田さん見た時、怖くなかった?」

と、尚子さんに訊かれる。

「・・・怖かった・・・」

苛められ過ぎて、忘れてた・・・
藤田さんと初めて話した時、藤田さんの発する冷たい空気が怖かったんだ。

「藤田さん、周囲の女子達が簡単に近付いて来ないように、威圧的なオーラを出すの」

少し眉尻を下げながら、尚子さんは続けた。

「沙映にも、最初はそうだったんだろうけど、途中で “ 近寄るなオーラ ” 出すの、やめたんだよ」

そうなのかな・・・?でも、何でだろう?

「いっつもそういう風にしているのも疲れるみたいで、こういう時、私『女避け』にされちゃうの」

「女避け?」

小首を傾げた私に、尚子さんは少し肩を竦めて笑った。

「ず~と藤田さんにくっついてて、“ 彼女のふり ” て感じかな?」