「ちんちくりん、いたのか。小さ過ぎて、見えなかった」

「っ!水野です!み・ず・の・さ・え!変なあだ名、付けないでください!逆に長くって、呼びづらいでしょっ!」

『!』いっぱいで抗議すれば、藤田さんは何かを考えるように、私を見つめた。

うっ・・・塚本さんといい、藤田さんといい、どうしてこう簡単に見つめてくるのだろう。

あなた達のような顔が整った人達は、ただ『見つめる』という行為が、どれだけ相手を攻撃する事になるのか、わかっていないのだろうか?

心の動揺を悟られまいと、私も、藤田さんを見つめ返した。

「・・・ちん!」

私は、犬かっっ!?

藤田さんの一言に、尚子さんは吹き出し、私はガクッと項垂れた。

その直後、高野主任や倉本さんに呼ばれて離れていった藤田さん。

「沙映、藤田さんに気に入られたみたいだね~」

目尻の涙を拭いながら、尚子さんが言う。
尚子さん、笑い過ぎ!

「気に入られた!? “ 嫌われた ” の間違いでしよ!?」

私が眉間に皺を寄せて言うと、尚子さんは首を振る。