今までは、何だかんだで塚本さんに押しきられていたけど・・・

今日は、負けない!

強い気持ちを込めて、下から塚本さんを睨み付ける。

私とは対照的に、いつも通り穏やかな表情(かお)の塚本さん。

その表情は、うっすらと笑みさえ浮かべているように見えて、余計に私をイライラさせる。

「振らついたのは、寝不足のせいだろ?」

寝不足は、あなたのせいですっ!

「違います!今日はいつもより軽いので、本当に!大丈夫です!」

「ここ、斜面だろ?転んだりしたら、コロコロ~って、下までいっちゃうよ?」

私は、ボールかっ!?

「沙映!」

私が口を開きかけた時、隣の尚子さんに呼ばれる。

「はいっ!?」

思わず、塚本さんと言い合っている勢いのまま、尚子さんを見る。

「私、トイレに行きたいから、先に行ってるね」

尚子さんは、手をヒラヒラ振りながら行ってしまう。

「ごゆっくり~」