私は、課長に渡されたファイルを棚に戻し、スカートのポケットからメモを取り出す。

「え~と・・・あった!」

見事に、そのファイルは高い位置にあった。

うぅ・・・身長152㎝には、辛い高さ!

棚に密着し、爪先立ちになり、精一杯腕を伸ばす。

あと、もうちょっと・・・せめて、もう1㎝
、ファイルが前に並んでいたら!

私が懸命に腕を伸ばしていると、背後に人の気配を感じる。

頭の上からヌッと黒いジャケットの腕が伸びてきて、私が届きそうで届かなかったファイルを、易々と抜き取る。

後ろを振り向くと、ファイルを持ち、呆れた顔をした塚本さんと目が合う。

「だから、危なっかしいんだって!」

「すみません・・・」

小さくなって頭を下げた。

「まだあるの?」

「はい。これです」

塚本さんに、課長から渡されたメモを渡す。