その少し意地悪そうな笑みに、なぜかドキッとしてしまう。

「なんで・・・?」

いろんな疑問はあったのに、とっさに、そんな言葉しか出てこない。

「仕返し」

塚本さんは私の右隣に立つと、適当に本を手に取り、パラパラと捲り始めた。

「・・・?」

やっぱり、よくわからない。

「水野君、いつもみんなにやってるでしょ?」

・・・そうだった!

私は小さな悪戯を思い付いた。

野球の練習の時、背後からソッと忍び寄り、両脇腹をモミモミとする事だ。

突然、そんな攻撃を受けて、おもしろい声で叫ぶ人、まじでくすぐったがって身を捩る人・・・

周りのみんなも、笑いながら見ている。

警戒され過ぎないように、一回の練習の時の犠牲者を、1~2人に決めて実行している。