車を走らせるマスター。遠ざかっていく現場をみながら口を開く。 「マスター。汐里は…愛沢の娘は幸せだったと思いますか」 さっきから汐里の顔が頭から離れない。 ペンライトで照らしたその顔はとても苦しそうに顔を歪めていた。 「それはわからない」 ただ一言言うマスターの顔はどこか寂しげだった。 「だが愛沢汐里は闇の中の犠牲者だ。少なくとも彼女を咎める者はいない。それに、そのことに関してはお前が一番よくわかってるはずだ」