今宵、月下の夜に

「そうかい。ごめんよ」

理解したように言う社長。

腰に手を回そうとする手をあたらないようにうまく避けて距離をとった。


途端になにもなくなった感触からさ迷うように手をふらふらと歩く社長。


「…どこにいるんだ?」

なにが起きたのかわからない社長は私を探してひたすら暗闇をさ迷っていた。


職業柄暗いところでも目がきく。

社長の姿も影のようにはっきりとみえていた。