今宵、月下の夜に

「ママは亡くなったの。パパはあんまり帰ってこないから…」

手を止めて悲しそうに言う彼女は俺をみて小さく笑っていた。

彼女がどんな気持ちでいるのか、俺にはわからない。

ただわかるのは、昔の俺のように孤独の殻にいること。

「汐里」

俺は彼女に近寄りいつもの癖で頭を撫でた。

「大丈夫」

そう言いながら撫でる俺は不思議な感覚に捕らわれていた。

目の前にいる彼女はどこか昔の自分をみているようで放っておけなくて。