今宵、月下の夜に

茶色の艶やかな髪を編み込んで結い上げ、二重の目は睫毛が綺麗にカールしていた。

誰が見ても綺麗なお嬢様だ。


俺が声をかけるとびっくりしたようにこちらをみる彼女。

だがすぐに微笑み返す。


「あなたお名前は?」


「松田真也です」

あらかじめ用意していた名前を告げた。

今の俺は他人の戸籍のもとにここにいるようなものだ。

間違っても本名は言わない。